[EnglishMonger 英語屋さん]
オモシロ英語雑学 ポップスの歌詞で英語の勉強をしましょう。みんなが知っている洋楽を考えて、Let It Goを選びました。日本語の歌詞は中々楽しいのですが、メロディにのせるためか、オリジナルの英語とは少し違います。そこの勉強です。
1 英語オリジナル、日本語歌詞、私の訳で比較してみよう
表を作ってみました。一番だけです。私の訳はメロディとかを無視している「詩/詞」の訳です。日本語歌詞は語数が半分にして、メロディに上手くのせてあるのに感心します。

Let It Go についての説明
(1)レリゴー
超有名なフレーズ、「レリゴー」から行きましょうか。アメリカ英語で T の発音が、「L」や「D」っぽくなる、いわゆる Flap T の発音ができています。better が「ベラー」、water が「ワラー」に聞こえるものです。まぁ、アメリカ英語でアクセントがない母音の前ではこうなります。
これを「レリゴー」とみんなが普通に言っているのが、後々、この発音ルールを知って結びつくと良いですね。あ、あれか、みたいな感じです。ちなみに、go を「ゴゥ」と二重母音でしっかり発音すると、もう、完璧ですよ。
(2)ありのままに?
次に意味に行きましょう。Let it go. は、ご存じのように、「ありのままに」という訳になっています。ここは訳者さんも、相当頭を悩ませたのではないでしょうか、タイトルでサビの部分ですから。メロディとリズムに合わせて、意味を伝える、というE難度でしょう。
みんなが、口ずさんでいるから、歌詞的には成功かもしれません。
しかし、英語関係の人からは、良いんだけどねぇ、というコメントがでているんじゃないでしょうか。
私の訳では、「解放する」という、ゴツゴツした日本語にしています。「もう我慢しない」にしようかとも迷いました。
ここで使役動詞の let の説明をする必要は無いでしょう。 it も「何か」を指している、くらいに留めておきましょう。問題は go でしょう。「行く」で良いんです。良いんですけど、「それを行かせるようにしよう」という直訳はどういうことか、ということです。
何がどこからどこへ行くの?
映画を見た人ならば、この場面までのストーリーをご存じでしょう。簡単に言います。it は「彼女の魔力」を指しています。
自分が魔法使いであること、魔法を使うことが、隠していた自分の中から、自分の外に行くことをそのまま許そう。
と長くいえば、こうなります。要するに「もう我慢しないからね」という主張です。まぁ「ありのまま」です。ただ、「ありのまま」というのがラブロマンスの文脈になると「正直に自分を隠さない、格好付けない」というニュアンスが先ず出てきますので、少ぉぉし、印象が違います。
でも、ロマンスの話なので、すぅっと、頭に入るっていうのもあります。あぁ、もう我慢するのも疲れたから、バンバン使っちゃうよ、という感じ。そうなると、場面で魔法を大解放するシーンに合うのではないでしょうか。
(3)少しも寒くないわ?
そこまで、考えると、
The cold never bothered me anyway!
が、「少しも寒くないわ」というのが、実は誤訳(ただ、歌詞の訳の世界は、正しく訳せばいいというものではないので、こう言ってしまうのが正しいかは分かりません)と思うのです。
「少しも寒くないわ」って自分の氷の世界は寒さなんか平気よ、って意味でしょう。そもそも、寒さに強い魔女のはずです。ここは
the cold は、「魔法で回りが冷たくなった事」、もう一歩踏み込んで「氷の魔法を使った結果」のことだと考える方が良いような気がします。「隠していた氷の魔法のことにいちいちに心を砕かない」とだから、Let It Go する、という流れが普通のような気がします。
(4)各スタンザの英語の解説
1st
The snow glows white on the mountain tonight/Not a footprint to be seen/A kingdom of isolation,/And it looks like I’m the queen.
ここは雪の世界の中の描写。まさに自分の世界と言っています
不定詞の用法が出ています。 to be seen 形容詞的用法で、「見ることができる」と、しかも、受動態の形。look like の後に文が来ているのにも注目、like はもう接続詞にもなります。
2nd
The wind is howling /like this swirling storm inside/Couldn’t keep it in, /heaven knows I tried!
我慢していた時の、心の中の、フラストレーションを例えています。それほど、苦しかったのよ、と。
heaven knows の熟語「天のみ知る」「誰も知らない」が出ています。
3rd
Don’t let them in, don’t let them see/Be the good girl you always have to be/Conceal, don’t feel, don’t let them know/Well, now they know!
最初の三つは、親の注意、「バレるな!」という警告。最後の文で、バレてしまった、と複雑な感情で言っています。Well, にその気持ちが籠もっているようです。「守れなかった」という後悔と「今までの我慢の代償を」という復讐心、と何よりも「仕方ないじゃ無いかぁ」という諦めと。
them は「一般の人全部でしょう」。
4th
Let it go, let it go/Can’t hold it back anymore/Let it go, let it go/Turn away and slam the door!
ダークサイドに落ちた、みたいな言葉です。
not anymore という熟語が出ています。「もはや〜ではない」
5th
I don’t care/What they’re going to say/Let the storm rage on,/The cold never bothered me anyway!
もうやりますからね、という決意表明です。what … say は間接疑問で、care の目的語になっています。
最後に
これは、英語の勉強に相応しい歌でもあります。是非とも、一緒に歌ってください。
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