[EnglishMonger Wakasa]

福岡を観光する皆様。福岡県民の私が福岡のラーメンを少し書かせてもらいます。福岡へ来る楽しみに、ほとんどの人が食事を上げています。博多飯の話を全部話していたら、スペースがいくらあっても足りません。ですから、ここはラーメンの話にします。それでも、かなりカットしています。

はじめに

私達としては、普通の日常風景だったラーメンが、このように日本全国に、否、世界中にその名前が広がっているのに、驚くとともに、少し誇りにも感じています。

昔、福岡県民が東京あたりに出ていって、ラーメンを食べると、何で、黒いと?と思ったという話が、山ほどあります。地元を出ていない私も高校生まで、ラーメンのスープは白いものだ、と、空は青い、と同じ程度に思っていました。

それほどの、浸透ぶりです。中には、

「俺の体の三分の一はラーメンでできとうもんね」、

とか言うのもいます。(あとの三分の二は何でできているかは聞かないでくださいね、口ごもります)。この福岡県民の魂の根幹にあるラーメンを食べに、福岡に来て下さるとは、ありがたく思いますし、語りたくもなります。福岡県民をこの話題で刺激すれば、ほぼ皆、口角泡を飛ばして語ると思います。

横道:「博多」という言葉について

博多ラーメン、という言い方で、福岡市及びその周辺地区のラーメンを指して言うのですが、実はこの博多という地名が地元民には微妙な名前です。大阪を浪速というように、もう福岡の別称となっています。福岡県民もそんな感じで使います。しかし、厳密に言うと、福岡の博多区の、しかも、そのまた一部の地区、を指す言葉なのです。博多駅でさえ、博多ではないのです。そこが気になる人は気になってしまうところがあります。しかし、もう博多ラーメンで定着しています。言葉は使う人が多い方が勝ちですね。

Hakata Yamakasa Festival

このような風景

博多駅や博多空港から福岡市に入られるでしょう。または、九州自動車道の福岡インターからかもしれません。次にホテルか観光地か出張場所、に行かれるでしょうか。落ち着いたら、街を歩いて下さい。

まぁ、豚骨ラーメンの匂いにぶつかります。午前中から香ってきます。

Hakata Station

飲食店の四大誘惑臭の一つだと思っています。空腹の胃袋に魔法をかけてきます。あとの三つは、焼き鳥、焼き肉、ウナギでしょうか。この三つは、集客の意味もあるかもしれませんが、煙を外に出さないと店内がスモークだらけになるからでしょう。

しかし、豚骨スープは集客とか関係なし。むしろ、外に出したくない。でも、壁とか窓とかドアとかを通り抜けている感じ。

この匂いが駄目だ、とおっしゃる訪問客が、昔は多かったのですが、今では、少し減ったような感じがします。おそらく、豚骨ラーメンが日本中、世界中に浸透して、ここに来る前に、豚骨ヘイトを屈服させているのだろうと思います。

福岡で食べる意義は?

今では、全国に豚骨ラーメンがあります。おそらく、博多システムの「麺の固さ指定」「替え玉」「ゴマと紅ショウガ入れ放題」はご存じでしょう。他に、新しく説明を付け加えるものはありません。あえて書くならば、「大盛り」「シナチク」に出会う確率が低いことでしょう。それと、一蘭が大ヒットしたためか、辛子味噌を置いてある店が増えたことでしょうか。

小見出しに、福岡で食べる意義と大げさに書きましたが、ここはどう説明しましょうか。

福岡=ラーメン、という観光方程式があることは大きいでしょう。

「本場は、どんなかな?」

という。

で、上記の意義の答ですが、本場だからでしょう、という陳腐な答。

小樽の寿司なり、仙台の牛タンなり、大阪のお好み焼きなり、おそらく本場とは各店が凌ぎ合っている場所でしょう。地域ナンバーワンを目指している(その先に日本一、世界一があるかもしれません)。

ここ福岡でも、激闘を繰り広げています。

私はずっとラーメンマニアです。三十年前くらいから、(おそらく、ラーメンブームの開始から)、人気店がドンドンと変わってきています。常に戦国時代の様相です。三十年前に、マンガの本とニンニク絞りで、トップを取った某ラーメン店も、競走レースでは背後の方に行ってしましました。全国で有名な一蘭と一風堂も、人気で君臨していましたが、それも過去の話です。むしろ、福岡の人は避けているような感じがします。人気がありすぎての、反感かもしれません。昔のアンチ巨人的感覚です。

「あげん外を目指さんでも、よかろうもん」と。

地域有名店が全国に飛び出していく、というのも考えものですね。その良さを他の地に伝えるけど、現地で食べて感動することが薄まる可能性が高いのです。その点、関西の、551豚まん、は素晴らしい。福岡のラーメンは、豚骨ラーメンの最先端にいるのではないでしょうか。(ここら辺の話は、ラーメン専門家に聞いて下さい。東京だよ、って反論が来そうですが)

ラーメンと福岡県民

福岡の人に聞いて、どこのラーメン屋が良い?って聞くと、いろいろ返事が返ってきます。語ります。マイラーメンショップです。自分の住む地域の店だったりします。

そもそも、豚骨ラーメンは博多じゃない、あそこだ、という福岡市以外の答も来るかもしれません。

博多の名物のうどんは?と聞くと、割と、同じような所が出てきそうなのと対照的です。

さて、いろいろな店を紹介したいと思いますが、全部を紹介するなんて無理だし、ラーメンベストなんちゃらというのは他にサイトがありますから、そちらにお任せするとして、独自に展開したいと思います。

全国的ネームバリュー店

福岡を飛び出して、全国にその名を広めている二つを紹介します。

一風堂と一蘭です。

博多一風堂  大名本店 福岡市中央区大名1丁目13−14

まずは一風堂です。ニューヨークで行列ができる人気だというニュースがありました。

1杯2,000円以上!ニューヨークで大人気のラーメン一風堂に行ってきた感想とメニューを紹介【アメリカ】https://www.tontonworld.com/entry/ippudo-new-york

このブログでは、一杯が2000円以上、という報告です。でも、行列です。

ラーメンブームの前(このブームの一役を担ったのが一風堂の河原社長でした)。福岡県内に数店舗あり、私の近所にもありました。(ブームとは横浜のラーメンミュージアム開始の後のブームを指しています。世の中にラーメンマニアが爆発的に増えました)。

その昔も、赤丸、白丸、という独特のネーミングで、人気でしたが、行列ができる程ではありませんでした。私も、赤丸美味いね、とかいう位の感じの普通に美味しいラーメン店でしたが、河原店主が「TVチャンピオン」でその名を売ると、後はすさまじい躍進振りで、日本のラーメン界のトップを走るようになりました。

一蘭  本社総本店 福岡市博多区中洲5丁目3−2

一方が、一蘭です。これも、その独特の店のスタイルで世間の耳目を集め、超有名店になりました。こちらも日本を飛び出して人気のようです。ニュース記事です。

行列が続く「一蘭」台湾1号店。成功の理由は立地にありhttps://www.foods-ch.com/world/1501470690858/

これもブーム前は、福岡市から南に20キロにある小さな小郡市の、しかも、住宅地の中にある店でした。しかし、その人気は高く、一見さんお断り、というラーメン店ではあまり聞かない敷居の高い店でした。私も馴染みの人に一度連れていってもらっただけです。お爺ちゃんが頑張っていましたが、老齢で店を閉じました。

しかし、吉冨学氏が、その店を続けることになり、今の一蘭になっていきます。吉冨氏の、革新的アイデアが爆発して、大成功を収めました。もう、カウンターの仕切りと好みの調査票を紹介説明する必要もないくらい有名ですまだ、県内にしか店舗がない時には、県外から来た人の飲み会の締めに使っていて、非常に喜ばれました。夜中の十二時過ぎでも、行列ができていました。その頃は、福岡の誇り、みたいな感じでした。

しかし、今ではもう福岡の一蘭ではない感じがします。

一蘭は福岡のラーメン界にインパクトを残しています。

一蘭が閉店して、その味を残したくて、一味という店が近くにできました。

今の革命的一蘭は、昔の一蘭と違うから、これが本当の一蘭だ、と鳳凛という店も現れます。

ラーメンは、人の心を動かすのですが、一蘭は、私の心のラーメン屋、というポジションから離れてしまったような感じです。

現在の人気店

現在の人気店を、福岡市から二つ、久留米市から一つ、紹介します。

博多一双、博多ラーメンShin-Shin、大砲ラーメン、です。

博多一双  博多駅東本店 福岡市博多区博多駅東3丁目1−6

今、ラーメンランキング的なものでトップにいる店です。まだ、開店して十年も経っていません。しかし、もう頂点にいます。いつも行列ができています。行列の客がガイドブックを手にしていたり、キャリーケースを横に置いていたりしています。

スープが独特で、濃厚だがアッサリという、矛盾した表現になってしまう。泡系、という名前も生まれました。豚骨カプチーノ、という呼び名もあります。カプチーノとか、イタリア風に呼ばれるとか、これが女性を中心に人を呼ぶのでしょうねぇ。

博多ラーメンShin-Shin  天神本店 福岡市中央区天神3丁目2−19

厳密に言うと、博多ではない天神に本店があるラーメン屋さん。ここも行列ができています。覇権ですが、今はどうでしょう、さぁ、一双に奪われたトップを取り返してやるぞ、的な感じがします。

アッサリしているラーメンで、女性に人気です。スープが上品ですので、そこが人気なのでしょう。店のスタッフも元気が良い。さらに、博多華丸がテレビでこの店の名前をよく出すから、さらに有名になりました。

店名が横文字なのもここだけで、お洒落感を増しています。シン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、的な多重の意味のシンかもしれません。

大砲ラーメン 本店 久留米市通外町11−8

久留米ラーメンの雄。福岡市でも店を出して勝負しています。「呼び戻しスープ」と名付けられた濃厚なスープと自家製麺で人気です。県内で初めてお洒落な店作りをしたラーメン屋ではないでしょうか。店内をお洒落な空間にしています。JazzのBGMもかかります。

社長は二代目、香月氏。小さい頃、ラーメン屋の息子、と馬鹿にされた、と語っていました。その時の悔しさが今の活躍に繋がっているのでしょう。久留米をラーメンで日本一有名にしてやろう、博多に負けないぞ、という気概を感じます。器のラーメンにその魂が乗り移っているのです。

元祖長浜屋の風景

元祖長浜屋  福岡県福岡市中央区長浜2丁目5−25

博多ラーメンの中の長浜ラーメン。その味の定義は難しいし、〜系と呼ぶには差はありません。長浜地区のラーメンということでしょう。

しかし、私達にとっては、何とも言えない感傷的な響きを持っています。

アァ、昔、世話になったばい、って。中には、今でもたい、って人もいるでしょう。

そんな、博多ラーメン始まり、です。

その象徴の店が、この、元祖長浜屋、です。まだ、昔と同じスタイルと味で頑張っています。

細麺も、替え玉もこの店が始めたということです。近くの魚市場の人に早くラーメンを出したいので、細麺にして、細麺だからすぐに伸びるので、沢山食べたい人用に替え玉のシステムを考えました。

ご紹介しましょう。

店に入ると、店員さんが白い長靴を履いているのが目に留まります。もぉ、

ラーメンを,艶付けて(上品ぶって)食うのやら、ぼてくりこかすぞ(殴り倒す)ぞ、

と主張してきます。

キッチンと食堂の境目のカウンターには、数列で並ぶ兵隊のように並ぶ器が置いてあります。臨戦態勢です。

座って、店員さんに食券を渡して、さて、とか言っていると、もうラーメンが来ます。ベリー・ファーストフードです。トッピングはネギとチャーシューのみ。もうベリー・ファーストフードです。

今はそうでもないでしょうが、昔は、麺の硬さとかも言わず、「一杯」とだけ注文していたように記憶しています。「一杯」に続く「ください」と同時にラーメンが出てきたような気がしています。ここはラーメンを味わうと同時に、ラーメン屋を味わう店です。

屋台のラーメン

福岡市の中洲と天神には屋台が出ていて、地元民だけでなく、観光客にも人気です。

私が貧乏な学生だった時は、金がないけん、今日は屋台やね、という感じでしたが、今やそのステータスは高く、今日は屋台やね、とか言うと、もの凄く失礼な感じがします。福岡に人を呼ぶエースですから。

だいたい、酒の肴になるものを出していますが、ラーメンも注文できます。焼き鳥食べて、締めのラーメン付き、みたいな感じです。

で、味は飲んだ酔っ払い用の味です。アッサリとしています。中には、濃厚なのを出す屋台もあるかもしれませんが、どうでしょうか。

この、軽い淡い薄いラーメンも、この、三次会、四次会状況で食べると、良いのです。美味しい、と言う感じではなくて、なんか、胃袋が求めているのを摂っている、という、感じ。酔った頭に、小難しいラーメンは、いらん、!とそのような感じです。

ですから、屋台にラーメンをメインに求めるのではなくて、屋台を楽しむために行くと良いと思います。ラーメンはコース料理のデザートみたいなものです。

最後に私の隠し玉

大陽軒 本店 朝倉郡筑前町原地蔵1847−3

今から紹介するラーメン屋さんは、博多だけをラーメン食のフィールドにしている人は知らないと思います。その博多から車で一時間は優にかかる筑前町にあります。

大陽軒、です。だいようけん、と読みます。

道路を走っていると、横に、壊れかけの廃墟みたいな所に、車が一杯に駐まっています。昭和の家をそのまま店舗に使っているのでしょうか。まぁ、ボロい。そこに、なんか看板みたいなのやら、旗やらが立っている。中に入っても土間です。

なんだ、この店、と初めての人は言うでしょう。

でも、ラーメンは美味しい。

ですが、上品でアッサリでお洒落なラーメンとかを求める人は、駄目かもしれません。

濃い、熱い、塩い、的なモノを求める人のラーメンです。

ある年齢の時の私がそうでしたので、ピッタリでした。

店はトンコツアルカリスープ、と唄っていますが、それが、何?って感じで、

ほぉ、アルカリだ、

って、感心している人はいないと思います。体に良い物を摂りにラーメンを食べている人とかあまりいないでしょうし。

とかなんとか、書きましたが、私は好きなのですよ。好きすぎて色々と言葉が出てしまう。皆さんも行くと、色々ツッコミができますが、昼過ぎにはもう閉店していますからご注意を。

最後に

一度、ラーメンのことをまとめたいと思い、書いてみました。他県の人が読むことを前提に書いています。文体は、これが私の書き進めるスタイルで、すぐオチャラケてしまいますが、スミマセン、としか言いようがありません。福岡のラーメンの進化には本当に驚かされます。

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