007映画のタイトル(イーオン・プロダクション作品のみ)を見てみしょう。その英語にコメントをしつつ、映画の内容にも触れたいと思います。

1 Dr. No (1962)  『007 ドクターノオ』

シリーズ第一作、公開当時の邦題は「007は殺しの番号」であった。シリーズ化した時のお決まりのパターンがかなり出ている。有名セリフ、 Bond, James Bond もあるし、オフィスで帽子を投げるシーンもある。オープニングも、あの gun barrel sequence なのだ。

2 From Russia with Love (1963)  『007 ロシアより愛をこめて』

手紙の最後に書き記す文句から、タイトルがとられている。日本公開では「007 危機一発」と漢字を変えてのタイトルであった。この危機一発は、さらに、ブルース・リーの「ドラゴン危機一発」でも使われた。

3 Goldfinger (1964)        『007 ゴールドフィンガー』

黄金の指、である。神話のミダス王のように、なんでも、金に変える比喩からだろう。金粉に塗ってボンドガールが殺される。ボンドカーのアストンマーチン登場。

4 Thunderball (1965)      『007サンダーボール作戦』

Thunderball というのはアメリカ兵が原爆実験でのキノコ雲を指す言葉であったのを、映画も原爆を爆破させるというピンチを描いているので、採用されたとか。

5 You Only Live Twice (1967)     『007は二度死ぬ』

日本が舞台であった。「二度生きる」が、邦題では「二度死ぬ」になっている。冒頭、ボンドが死体に紛争する時のセリフから来ている。You only live once.「人生は一度きり」を捻っている。

6 On Her Majesty’s Secret Service (1969) 『女王陛下の007』

この映画だけが、日本語のタイトルで007が後ろについている。女王陛下のシークレットサービスの仕事で、のような意味。 英国諜報組織MI6を指している。

7 Diamonds Are Forever (1971)   『007 ダイヤモンドは永遠に』

ダイヤモンドは永遠、と宝石商 De Beersで最初作られたスローガンで、今でも使われている。 ダイヤモンドが鉱石の中で一番硬いので、一番崩壊しない。

8 Live and Let Die (1973)          『007 死ぬのは奴らだ』

Live and Let Live. という諺の捻り。諺は「自分も生き、他人も生かせ」。映画のタイトルは「自分は生き、人は死に」になっている。主題歌をポール・マッカトニーが歌っていた。

9 The Man with the Golden Gun (1974)    『007 黄金銃を持つ男』

英語のタイトルそのままの邦題になっている。

10 The Spy Who Loved Me (1977)          『007 私を愛したスパイ』

英語のタイトルそのままの邦題になっている。(説明の短さは、内容の評価と関係有り)

11 Moonraker (1979)      『007 ムーンレイカー』

水面に映った月を掻き集めようとする頭の悪さから、イギリスでは「馬鹿者」という俗語で使われる。この映画で、ボンドが宇宙まで行ってしまって、そっちの荒唐無稽さのほうに、バカモノー、と言いたくなる。

12 For Your Eyes Only (1981)     『007 ユア・アイズ・オンリー』

「親展」という意味の英語。冒頭で渡される書類の帯にこう書いてあった。これを何となくロマンティックに思わせるのが、ボンドの魅力なのだろう。ラストシーンにも使われる。

13 Octopussy (1983)      『007 オクトパシー』

ボンドガール/悪役の役名。タコのoctopus から来ている。タコはタコでも、猛毒を持つヒョウモンダコのイメージで、危険な女性と示唆している。

14 A View to a Kill (1985)          『007 美しき獲物たち』

ハンティングの用語から。「view獲物を見つけたこと」から次は「kill仕留めること」という意味。「標的が見つかり、次は撃つ」という殺しの瞬間、という感じか。ここら辺から作者フレミングの著作タイトルがなくなり、映画会社が考え出している。

15 The Living Daylights (1987)    『007 リビング・デイライツ』

scare the living daylights out of a person という「死ぬほどビビらせる」という熟語がベースで、セリフの中にある。living daylights 自体には特に意味はなく、要するに「ビビらせた」というタイトルに込めたかったのでは、と思っています。殺しのライセンスを主人公は持っているのですから。

16 Licence to Kill (1989) 『007 消されたライセンス』

殺しのライセンスが英語のタイトルだが、邦題は消されたランセンス。ストーリーに合わせて邦題を変えたのかと思ったが、原題が当初Licence Revoked 「剥奪されたライセンス」で、こっちの方が変えられている。licence のスペルがイギリス風。

17 GoldenEye (1995)      『007 ゴールデンアイ』

映画では衛星兵器の名前。作者フレミングが執筆したジャマイカの邸宅名だとか。「金」入りタイトルの三番目。

18 Tomorrow Never Dies (1997)  『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』

Tomorrow Never Diesは「明日は必ず来る」。ここら辺で、配給会社は、かっこいい邦題をつけるのを諦めたらしい。英語のカタカナ読みになっている。細かく言うと、三人称単数の s を省いている。

19 The World Is Not Enough (1999)         『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』

ボンド家の家訓。ラテン語の Orbis Non Sufficit の翻訳。「世界だけじゃものたりない」。で、何が欲しいんだ?って話。

20 Die Another Day (2002)         『007 ダイ・アナザー・デイ』

“So you lived to die another day… Colonel.”と死んだと思われた人間に「もう一回死ぬことになったな」と銃を向けて言っているシーンがある。die another day だけをとりあげると、「別の日に死ね」「今日は死ぬな」という意味。人気映画 Die Hard の影響があるのかも。

21 Casino Royale (2006) 『007 カジノ・ロワイヤル』

映画に出てくるカジノの名前。フランス語のroyale が使われている。英語の royal 「王の」と同源。日本映画に「バトル・ロワイヤル」という殺し合いの映画があるが、こちらの方が公開が早い。

22 Quantum of Solace (2008)      『007 慰めの報酬』

謎めいたタイトルで、もう、謎めいているのが命名者の本意ではないかとも思う。quantum は「量」 solaceは「慰め」という単語。合わせて「慰めの量」にすると、謎な意味になる。いろいろと調べるが、「情け心の大きさ」というところではないか。「情け心」がゼロになり、ボンドが本当に「殺しのライセンス」にふさわしくなった。quantum という単語がよく登場するのは、量子という意味で、量子物理学の時である。

23 Skyfall (2012)          『007 スカイフォール』

映画の中ではボンドの生家の名前になっている。空が落ちる、という「破滅」的な意味だが、映画でも舞台になった、その家の成り行きを暗示している。

24 Spectre (2015)         『007 スペクター』

第一作から登場の悪の組織。ボンドの宿敵である。「幽霊」という意味だ。スペルがイギリス風になっている。Special Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge and Extortion”の略だとか。もう後付けでしょう。著作権の問題で、スペクターがずっと使えなかったのが、やっと解決。そう言われたら、ずっと出ていなかった。

25 No Time to Die (2021)           『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

「死ぬ時間はない」。単語 die の四回目の登場である。しかし、このワードは今回のキーワードだ。この I have no time to … というパターンで使われている表現で、「〜する暇はない」という意味。それと、最初のNoは、劇中に出てくる能面 Noh mask とかけてあるのではと思う。

James Bond Music

歌手などのデータ的なのはこちらの Wikipedia を。クリックしてください。

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